令和6年6月20日、納沙布金刀比羅神社境内に建立されている「北方領土の碑」前において、神道青年全国協議会創立75周年記念事業の一環として行われた「北方領土早期復帰祈願祭」に参列しました。

納沙布金刀比羅神社の境内からは、北方領土の一部を肉眼で見ることができます。目で見えるほど近い距離でありながら、ロシアによる不法占拠からすでに80年近くが経過していることに、強い憤りを感じました。

その後、納沙布岬から北東約3.7キロメートル沖に位置する歯舞群島の貝殻島周辺を望みながら、北方館の方から説明を受けました。貝殻島周辺では現在もコンブ漁が行われていますが、ロシア側に採取権料を支払って漁を行わなければなりません。最近はコンブの生育が悪く、十分な量が採れないにもかかわらず、採取量に関係なく権料が必要なため、漁業者の方々は大変苦労されているとのことでした。
説明を受けている間にも、多くの漁船が納沙布岬へ戻ってきましたが、どの船にもコンブはほとんど積まれていませんでした。逆に、貝殻島へ向かう船が一隻あり、北方館の方に伺うと、それは海上保安部の船だと教えてくださいました。過去には、国境線を越えたとして銃撃されたり、拿捕されたりした事例があり、そうした事態を防ぐために警備を続けているとのことでした。

北方領土が「目で見えるほど近い」という話は以前から聞いていましたが、実際にその光景を目の当たりにすると、これほど近い場所で土地が奪われ、海上の見えない線を越えるだけで命の危険があるという現実に、恐怖と怒りがこみ上げてきました。
帰宅後も北方領土に関するニュースを意識して追っていたところ、貝殻島周辺では私たちが知らないうちにさまざまな動きがあることが分かりました。以下に、その主な出来事をまとめます。

令和6年 貝殻島周辺の主な動き
6月15日
北方領土・歯舞群島の貝殻島周辺海域で、日本漁船によるコンブ漁が始まりました。今年はコンブの生育が遅れたため、例年より2週間遅れての出漁となりました。
貝殻島灯台は昭和17年(1937年)に日本が航行安全のために建設したもので、コンブ漁は昭和38年(1963年)から民間協定に基づき行われています。今年は5月中旬に操業条件をめぐるロシア側との交渉が妥結しました。
採取予定量はコンブ3,000トン、その他の褐藻類3,360トンで、ロシア側に支払う採取権料は約8,037万円。9月30日までの期間に計195隻が操業予定でした。
6月17日
根室海上保安部が、航行中の巡視船によって貝殻島灯台が消灯していることを確認しました。灯台が故障によるものか、あるいはロシア側の意図によるものかは不明とのことです。
7月12日
ロシア外務省は、貝殻島周辺で行われている日本側のコンブ漁を15日から停止すると発表しました。理由は「灯台の修理・点検が終わるまで」とされ、再開時期は示されませんでした。日本側が安全航行のため灯台の復旧を求めていたにもかかわらず、ロシア側は「日本側に責任がある」と主張しました。
7月18日
ロシア側の要請を受け、歯舞漁協は操業区域を示すブイを撤去しました。
7月26日
根室海上保安部が、貝殻島灯台の再点灯を確認しました。ただし光は以前より弱く、点滅の間隔も長くなっているとのことです。
7月28日~31日
鈴木宗男参院議員がロシアを訪問し、ロシア外務省や漁業庁の高官と面会。元島民の墓参やコンブ漁の再開について協議しました。
8月15日
貝殻島灯台の最上部にロシア国旗が掲げられているのが確認されました。実効支配を誇示する行為とみられます。昨年も同様の動きがありましたが、その際の国旗は11月に撤去されていました。
8月20日
歯舞漁協は、灯台修理期間中に撤去していたブイを再設置し、21日以降に操業を再開しました。ロシア漁業庁から「灯台修理が終わったため再開してよい」との文書が届いたためです。
感じたこと
今回の調査を通して、不法占拠が続く貝殻島では、ロシアの許可がなければ近づくことすらできず、日本側が自由に関与できない現実を改めて痛感しました。
採取権料を支払っているにもかかわらず、灯台の修理を理由に漁の中止やブイの撤去を求め、さらに灯を暗くするという対応は、日本では考えられない理不尽なものです。加えてロシア国旗の掲揚も行われ、極めて屈辱的な状況だと感じます。
驚くべきことに、こうした出来事は一部の報道機関しか取り上げていません。領土問題の解決には、国民一人ひとりの関心を高めることが重要だといわれますが、このままでは関心が薄れていくばかりです。
貝殻島の様子は、以下のライブカメラからも確認できます。
👉 https://advoke.jpn.com/rausu/ja/video/camera/index.html#c01
ぜひ実際にご覧いただき、80年近く不法占拠が続いている現実を自分の目で確かめていただきたいと思います。
現在ロシアはウクライナへの侵攻を続けていますが、私たち日本もロシアに領土を奪われているという事実を、決して忘れてはなりません。
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